イベント・広報
過去に開催されたイベントレポート

EVEX(EV・PHV普及活用技術展2015) in 東京ビッグサイト

経済産業省・自治体によるEV・PHV普及に向けた
セミナーと、様々な充電器・PHEVの展示が行われた

  • 開催日:2015年 9月30日(水)~10月2日(金)
  • 開催場所:東京ビッグサイト 会議棟/西ホール

EVEX (EV・PHV普及活用技術展) 2015

2010年に国内初の「EV専門展示会」としてスタートしたEVEX。EV・PHVの普及に向けた課題解決や新たな活用方法を提案する展示会として注目を集め、今年で6回目の開催を迎えました。
次世代自動車振興センターは、経済産業省・自治体によるEV・PHVの普及に向けた取り組みなどを紹介するセミナーの実施、また展示ブースでは、充電器とPHEVの展示を行い、多数の方にご来場をいただきました。

EV・PHVの更なる普及に向けて

~経済産業省・自治体としての取り組みと課題~

セミナーでは、経済産業省ならびに特徴的な取り組みを進める自治体が集まり、EV・PHVの普及に向けた過去の取り組みや今後の課題について紹介いただきました。また、月刊誌「ザ・マイカー」副編集長の進行でパネルディスカッションも開催、今後の普及促進に向けた課題や施策について議論いただきました。

講演
「EV・PHV普及に向けた
 経済産業省の取り組みについて」

経済産業省製造産業局自動車課 課長補佐 鈴木理大氏

経済産業省は2030年までに次世代自動車の割合が5~7割になることを目指す目標を掲げており、「車両の購入促進」「充電インフラの整備」「電池の研究開発」の3つを軸とした支援策を行っている。
また、2008・2010年には、先駆的にEV・PHV普及に取り組む自治体をモデル地域選定、その活動を全国展開・普及啓発していく「EV・PHVタウン構想」等を進めた。EV・PHVタウンに選定された18都府県は、充電インフラ普及率全国トップクラスに推移している。今後も、EV・PHVタウンをはじめとする自治体の取り組みは、EV・PHVの普及において大変重要である。

>経済産業省製造産業局自動車課  課長補佐  鈴木理大氏

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「あいちEV・PHV普及ネットワークの
 取り組みについて」

愛知県環境部地球温暖化対策室 主査 三輪昌作氏

製造品出荷額等・自動車保有台数で日本一の自動車産業集積地であり、EV・PHVタウンにも選定されている愛知県では、EV・PHV普及促進のため電力会社や自動車メーカーを含む99の事業者・団体と共に「あいちEV・PHVネットワーク」を設立した。これにより①需要の創出、②充電インフラの整備促進、③普及啓発、④効果評価の4本柱を展開し、普及を進めている。

愛知県環境部地球温暖化対策室 主査  三輪昌作氏

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【それぞれの柱の活動と成果】

①需要の創出
EV・PHVに対する国の購入補助の他、県独自の購入補助制度、自動車税の課税免除措置の実施。
②充電インフラの整備促進
2020年までに1600基の整備を目指し、「愛知県次世代自動車充電インフラ整備・配置計画」を策定(2013年)。2015年3月末時点1,171基設置済み。
③普及啓発
「愛知県次世代自動車充電インフラ整備・運用ガイドライン」とEV・PHV用充電インフラ検索アプリ「全国EV・PHV充電まっぷ」を作成
④効果評価
過去の実績を次年度に活かすべく、活動内容を評価し課題や成果を抽出する「愛知県EV・PHVタウン推進マスタープラン」を策定。毎年見直し、PDCAサイクルを継続的に実施している。
「次世代自動車普及に向けて」

鳥取県環境立県推進課 課長補佐 足立浩司氏

鳥取県では、主要観光施設に充電器を設置するなどインフラ整備を積極的に行うと共に、県庁EV公用車のカーシェアリングへの活用、巡回バスに代わりEVを使ったオンデマンド交通のスタートなど、様々な施策に取り組んでいる。
また、鳥取・岡山両県の連携により、EV・PHVの電費などを競う「中国横断EVエコドライブ・グランプリ」を開催。充電設備が充実した、優れたEV走行環境をアピールすると共に、両県の特長である自然環境・観光資源の情報発信も行っている。
今後もEV・PHVに乗っていただく機会の創出を重点テーマに、地元企業やメーカーなどと連携を図りながら、試乗会イベントを開催するなど、普及活動を行っていく予定だ。

鳥取県環境立県推進課  課長補佐  足立浩司氏

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「さいたま市の電気自動車普及施策について」

さいたま市環境未来都市推進課 課長 髙橋伸一郎氏

さいたま市では、EV普及拡大の課題を市と自動車メーカー等の連携によって解決していく「E-KIZUNA Project(イー・キズナ・プロジェクト)」を推進している。車両の導入支援と全国トップクラスの充電網整備の双方からの取組みによりEV・PHVの普及は好調である。
現在は、震災の教訓を踏まえた「災害時の活用」に注力しており、停電時などにもEV・PHV等にエネルギーを供給できるハイパーエネルギーステーション※の整備や、逆にEV等を電源として活用する(VtoX)の設置等に取り組んでいる。また、超小型のEVによるカーシェアリング等の実証実験など、国と連携した超小型モビリティの普及にも取り組んでいる。
今後も「EV・PHVを使いたいと思える社会インフラを自治体としてどのように整備していくか」という課題に取組むことで普及を図っていく。
※次世代自動車用エネルギーを平時、災害時問わず供給する機能を有する施設。

さいたま市環境未来都市推進課  課長  髙橋伸一郎氏

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「“次世代エネルギーを活用したまちづくり”
 における電気自動車関連事業の概要」

薩摩川内市企画政策部新エネルギー対策課 新エネルギー対策監
兼 新エネルギー対策課長 久保信治氏

薩摩川内市では、市が抱えるゴールド集落※問題などをEV・PHVの普及を含めた次世代エネルギーの活用で解決に貢献するという視点で、様々な施策を展開している。市内の充電インフラ整備を促進する他、電気バスも導入。
また、離島、甑島(こしきしま)では、エコアイランド化による観光振興や市民生活の利便向上を目標に掲げ、EVレンタカーや超小型モビリティの導入などに取り組んできた。
更に、EVのリチウムイオン電池をリユースした大型蓄電池と太陽光発電を整備し、離島の電力を補うと共に防災機能を強化する実証実験を2015年11月より開始。
※毎年1月1日現在の住民基本台帳に登録された65歳以上の人口が50%以上の自治体の区域

薩摩川内市企画政策部新エネルギー対策課  新エネルギー対策監 兼 新エネルギー対策課長  久保信治氏

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パネルディスカッション

EV・PHVの普及における熱心な議論が交わされました。

司会進行:月刊誌「ザ・マイカー」副編集長塚本須彌氏

新車購入に役立つ情報を届ける月刊誌「ザ・マイカー」の副編集長を勤める塚本氏の進行で、普及に向けた熱心な議論が行われた。

塚本氏:「EV・PHVの今後の普及における課題は何か?」
三輪氏:「ユーザーにとって必要なことや本当に求められているクルマが何かを検討することが大切」
足立氏:「スマートハウス化を推進するなど、走るだけではないEV・PHVの更なる価値をいかに浸透させるか」

塚本氏:「2020年、2030年、普及の状況はどうなっていると考えるか?」
髙橋氏:「街なか(都市)、逆にSSの少ない中山間地域ではEV、バスやトラックなどの大型車や長距離移動にはFCVといった、どれか1つに偏るのではなく用途や車両の特性に合わせてそれぞれが発展・普及していくであろう」
久保氏:「用途に合わせたカーシェアリングができるなど、EV・PHVによる『住みたいまち』を作ることが、地方都市にとっては重要」

鈴木氏:「EV・PHVの普及には自治体との連携が非常に重要。本日発表されたような各自治体の先進的な取り組みが他の自治体でも採用され、EV・PHVの普及に繋がっていくだろう」

展示ブース
watch充電インフラ最前線

展示ブースでは、充電器メーカー5社(ニチコン、パナソニック、フォーアールエナジー、矢崎エナジーシステム、三菱電機)と三菱自動車工業が出展。
多くのお客さまにご来場いただき、各社の話を熱心に聞く姿が見られました。

ニチコン 滞在先での充電をサポートする急速充電器

今回ニチコンが出展した10kW急速充電器の特長は何と言ってもそのコンパクトさ。
W250×H1573×D420mmと、幅も奥行きも小さくてスリム。車載用充電器のサプライヤーとして培った「小さく軽くする」技術を最大限に活用している。80%の充電※が90~120分で可能。これは普通充電器の約3倍の速さで、そのサイズと充電の速さからホテルや温泉施設などへの設置をオススメしている。また、ICカードによる認証・課金システムも内蔵。さらに50kWの高入力容量の急速充電器に比べ低入力容量であるため複数台設置もしやすい。充電待ちの解消にも一役買いそうだ。
同時に出展したEVと家庭を繋ぐV2H(ビークル・トゥ・ホーム)を実現する、EVパワーステーションとともに、多くの来場者の注目を集めていた。
※バッテリー残量警告灯の点灯から80%充電まで。

パナソニック 3台の同時充電が可能な高機能タイプの普通充電スタンド

今回出展した商業施設等向けの普通充電スタンドは、タッチパネル式の画面を搭載しており、ICカードやID・パスワードによる利用者の認証ができる。また充電ケーブルが2つとコンセントユニット1つを搭載できるため、3台のクルマを同時に充電することが可能。利便性・拡張性に優れた高機能タイプの充電器で、商業施設などの駐車場に有効だ。
また、充電ケーブルが中にすっきり収納できる家庭向け充電スタンドも同時展示した。

フォーアールエナジー 蓄電池機機能を有した普通充電器

フォーアールエナジーからは蓄電池機能付きの普通充電器が出展された。EVに充電するだけでなく、蓄電機能を生かして太陽光で発電された電気を充電に活用できるなど、環境にやさしい利用ができる。
また12kWhと大容量の蓄電池を搭載しているため、4人家族1日分程度の電気を貯めることができる。貯めた電気は家電製品を選ばずに使うことができるので、万一の時にも安心してお使いいただける。
ラインナップは、蓄電池と充電器が一体型と別体型の2つ。設置する場所や用途に合わせた製品選びが可能だ。

矢崎エナジーシステム スタイリッシュでコンパクトなデザインが人気

矢崎エナジーシステムが出展したのは、EV・PHV用の壁掛け式普通充電器「イエスタ」。薄型でコンパクト、充電コネクタも小型化されている。
スタイリッシュなデザインに対する評価は高く、2014年度のグッドデザイン賞を壁掛け式充電器として初めての受賞。また、ICカード(フェリカカード)で利用者を認証することでセキュリティの向上を実現している。さらに今回は、壁がない場所で設置が可能なスタンド型の「イエスタ」も参考出展した。
2種類販売されているスタンド型のうち、デザイン重視のポールスタンド型「イエスタ」が展示された。

三菱電機 エネルギーの自給自足を実現

三菱電機はEV・PHEVに貯めた電気を家庭に給電できるEV用パワーコンディショナ「SMART V2H」を出展。
最大の特徴は、PV(太陽光発電)の電気をEV・PHEVに貯め、夜間にその電気を使うことにより電気を買わずにすむ自給自足を実現可能としたこと。世界で初めてEV・PV・系統電力(電力会社の電力)の3つの電力の制御を実現し、ライフスタイルに合わせた電気の使い方を提案している。
また、災害時には系統電力が停電しても、EV・PHEVに貯めた電力を家庭に給電するができ、生活をバックアップする。日照があれば停電中でもPVからEV・PHEVへの再充電が可能なので安心だ。
同時展示した三菱自動車のアウトランダーPHEVとの充電デモンストレーションも行われた。

三菱自動車工業 停まっているときも価値のあるクルマ

自動車では唯一の出展となった、三菱自動車工業のアウトランダーPHEV。フル充電で電力使用のみでの航続走行距離は60.8km※、ハイブリッド走行時の燃料消費率は20.2km/L※だ。
今回新たに提案しているのは、「停まっているときも価値のあるクルマ」。
例えばキャンプ場では、自動車の駆動用電池で気軽に普通の家電を使うことができ、また家庭では、V2Hによってクルマと家に繋ぎ、家庭で使う電気をクルマが給電する。そんな走りだけではない停まっているときの新しい価値も満載だ。
4駆のSUV としての側面に加えPHEVとしての評価も高く、新たなお客様が増えている。
※国土交通省審査値(JC08モード)。